一昨年の夏、山頂から「ご来光」を仰いだ。日の出を背にして眼下の峰々を望んだ時、あっと息をのんだ。自分がその頂上に立って初めて見る、なんと見事な「影富士」と呼ばれるものであった。足も、胸も震えた感動を忘れない。
きょうの新聞に、日本の文化紹介の催事として、富士山をテーマにした日本映画が北京で上映され、対日感情の悪化で心配されたが、ほぼ満員の市民で、富士山のふもとを舞台に家族愛を描いた作品に大きな拍手が起きたという。
富士山は日本人の心のふるさと。実は中国でも観光地としての人気が高い。日中関係がこじれても、すべての交流がなくなることはあり得ない。富士山に登りたいと言った北京の観客たちがいつか訪日できることを願いたい……と記した、このライターの想いに全く同感である。